【京都市右京区】冬枯れの神護寺、西明寺、高山寺を歩く 和気清麻呂を守った猪は誰だったのか?
2022年12月2日に、冬枯れの三尾を巡ってみました。高山寺は、紅葉の名所としても知られるだけでなく、有名な「鳥獣人物戯画」を有し、明恵(みょうえ)上人の寺です。明恵上人は、東大寺で華厳を学び、勧修寺の興然から密教の伝授を受け、建永元年(1206)後鳥羽上皇から栂尾の地が下賜され、高山寺を開きました。2018年9月の台風21号で、境内のスギやヒノキが300本以上倒れ、金堂が半壊するなど大きな被害を受けましたが、2年後に復興しました。
三尾の古刹のひとつとして知られる真言宗大覚寺派の寺である槙尾山西明寺は、天長年間(824~834)に空海の高弟、智泉が神護寺の別院として創建したと言われます。現在の本堂は元禄年間に桂昌院の寄進により再興されました。堂内には、本尊の釈迦如来像(重要文化財)や千手観世音菩薩像(重要文化財)、愛染明王像など多数の仏像が安置されています。釈迦如来像は運慶作と伝わる清凉寺式の立像です。こちらも紅葉は散っていました。
高雄山神護寺は、道鏡事件で知られる和気清麻呂とその姉、法均(広虫)によって創建されました。境内には和気清麻呂の廟があります。769年、宇佐八幡宮で「道鏡を天皇にすべし」との神託がおりた際、称徳天皇はその確認をするために和気清麻呂を派遣しました。都に戻った清麻呂は「天つ日嗣は、必ず皇緒を立てよ。……」という神託を持ち帰ります。
道鏡を天皇にしたいと考えていた称徳天皇はこの奏上を聞いて激怒し、清麻呂と広虫を流罪としました。この時、宇佐八幡宮への道中を突然現れた300頭のイノシシが警護したと言われます。このイノシシは、当時、広大な範囲に勢力を持ち、後の長岡京遷都や平安京遷都に際して影響を与えた、朝廷と深いかかわりを持つ渡来人の秦氏の一族ではないか? とも言われています。
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