【京都市伏見区】ブライダル業界を席巻した世界で一つの引き出物演出 開発秘話を新社長に聞きました!
結婚式の披露宴での引き出物演出を手掛ける「IN THE MOOD」を2025年6月27日に訪れました。出迎えてくださったのは昨年の11月に新社長に就任したばかりの三好麻未さん(40歳)です。今では、この引き出物と披露宴の演出を決めてから相手を探したり、式場を決める人たちがいるほど業界で話題のオープンセレモニーについて話を伺いました。
昨年の夏に九州で結婚式を挙げたR&Kさんの披露宴でのこと、参加者一人一人の前に置かれた桐の箱、独特の書体の墨書きで、「ばあば」「かか」を始め、「さっちゃん」など、親戚や友人一人ひとりの名前やあだなが書かれています。中を開けるとガラスの「ル・スールフリーカップ」が出てきました。しかも二つと同じものはなく、招待客一人一人の個性をイメージした吹きガラス作家職人さんの手作り一点ものです。これには、参加した人たちも大喜び。この品々と演出の誕生には、やはり秘話がありました。
新社長のお母様で専務を務め、現会長の三好富博さん(69歳)の奥様でもある三好伸子さん(68歳)は、工房からの直接仕入れで「陶器と染の店 IN THE MOOD」を北山界隈に開店し、夫婦で営みます。当時は作家さんの顔が見える作品の販売が珍しいことや水明書道会の師範でもある伸子さんの手書きの暖簾や値札なども評判となり、銀座プランタンや京都高島屋など有名百貨店の数々にショップも開店し、銀閣寺近くに自社ビルを構えるほど発展しました。
しかし、その後、銀行からの借り入れも膨らみ、業績も悪化。この時、起死回生の案として生まれたのが、同じサイズの木箱に何人もの作家さんのバラバラの作品を入れて、箱書きも好きな文字を入れ込むという富博さんの奇想天外な発想でした。少し評判となり、業績も上向き始めた頃、ここが踏ん張りどころという時に営業の人出が足らなくなり、新卒で「本当は家業を継ぎたくなかったし、音大を出て好きな道へ進みたかった」という次女の麻未さんが呼び戻されます。
世界で一つの引き出物を披露宴の演出としてその場で開封してもらう提案が考え出され、その案を持って、ホテルや式場めぐりが始まりました。これまでの常識を覆す提案に、当初は「狭いテーブルにそんな品置くスペースないわ」とほとんどが門前払い。数年間の踏ん張りにもかかわらず、業績は上がらず、2017年には、あわや倒産寸前まで追い込まれます。
「このままでは本当に危ない」と思われた時に、伸子さんが孫の写真を中心に載せていたInstagramのたった1枚の会社の写真から注文が入ります。麻未さんは「BtoCで注文が入るやなんて」と驚いたのだそう。その後は、新郎新婦の強い要望で式場も了承して行われた披露宴の演出が「こんなに心のこもった引き出物があるんや。イン・ザ・ムードのアイテムは、引き出物やのに席札としても使える」と話題に。
今では 「IN THE MOOD」のInstagramフォロワーは、5万人超えとなりました。新社長となった麻未さんは、「引き出物をみんなで開けた時に会場の雰囲気が一斉になごやかになるんです。新郎新婦さんからたくさんの笑顔写真が送られてきて、感謝されて、今では、本当に後を継いで良かったと思います」と語って下さいました。
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