【京都市北区】オーダー紳士服の花形テーラーから人気カレーうどん専門店の大将へ 波乱万丈65年の軌跡!
堀川通紫明から鞍馬口通へ渡った角にある人気のカレーうどん屋さんを2025年2月21日に訪ねました。ランチタイム営業は開店して直ぐに満席になるのでなかなか入れませんが、夕刻から夜の時間帯は比較的席が確保できます。連なる提灯の下に白地に「北大路カレーうどん」と書かれたシンプルなのれんを入ると、清潔感あふれる店内でいかにも温厚そうな明るい店主が出迎えてくださいました。カウンターには良い感じで焦げ目のついた手焼きの薄揚げが並んでいます。
お品書きはカレーうどんの並か小とその中華麺、あとは出し巻と中華胡瓜、日替わりの一品、ごはんと酒類だけです。それぞれ、昼定食、夜定食があります。直ぐにも出汁のいい香りとスパイスの香ばしい香りが同時に漂ってきて食欲をそそります。カレーうどんは、たっぷりの瑞々しい京水菜の中から出てくる細いうどんに京風だしとスパイスの効いたカレースープが良く絡んでめちゃ美味。
出汁の染みた牛肉、カレーうどんにはこの肉ですね! つけ合わせの中華胡瓜と塩昆布がまた美味い。出汁用の日高昆布をふわっとやわらかくたいたんだそう。2019年にこの地にオープンした同店ですが、実は北大路橋の袂で長い間「真夜中のカレーうどん」として屋台営業していた知る人ぞ知る人気店でした。そして、ここに至るまで、店主の別所哲雄さん(82歳)には波乱万丈の人生絵巻がありました。
十代の頃から祖父の代から続く「テーラー別所」へ丁稚奉公から入り、やがて店を継ぎます。当時のオーダーメイド紳士服のテーラーと言えば花形の職業です。さらに、28歳の時に西日本仮縫いコンテストで優勝、全国ペンギンクラブの全国製図コンテストで優勝。訓練校でも教鞭をとるようになります。まさに一流のテーラーとして、その名を馳せることになりました。
しかし、バブル崩壊が容赦なく業界と「テーラー別所」を襲いました。惜しまれつつ閉店。どん底に突き落とされたものの、生活のためにハサミを包丁に持ち替え、貴船の旅館やラーメン店などで修業をはじめます。持ち前の明るさと負けず嫌いが功を奏して、その後、うどん店の店長へ。その時に開発したカレーうどんが大人気になりました。後に縁あって北大路橋の袂で独立。その時52歳でした。
7年前に「北大路カレーうどん」をオープンし、当時お客さんとして来ていた奥様の在美さんと出会い、今では二人で店を切り盛りされています。テーラーとして30年、飲食業界で35年の軌跡です。「今ではカレーうどん屋が天職ですわあ」という別所さんの徹底した食材や調理法へのこだわりは一流テーラーとして、「これは譲らへんよ」という筋の通った職人気質が今も貫かれているのだそうです。大徳寺や下鴨神社などへ来た際にはぜひ立ち寄ってみてください!
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