【京都市上京区・東山区】応仁の乱発祥の御霊さんや善光寺別院の東山の尼寺で一初(イチハツ)が見ごろを迎えています!
一初という中国原産でアヤメ科に属する花があるのをご存じですか? アヤメ科の中で一番早く青紫色の花を咲かせるのでこの名前になったそうです。2023年4月22日、上御霊神社や得清明院で一初の花が見ごろを迎えていました。「一八」「逸初」「鳶尾」とも書きます。
平安遷都にあたり延暦13年(794)桓武天皇が平安京の守り神として崇道天皇(早良親王)の御神霊を祀ったのが上御霊神社のおこりです。当時の人々は天変地異や疫病の流行があいつぐと、それは中央の政界において、非運の中に逝去した高貴の人々の怨霊の仕業であるとされ、その人々の神霊を丁重に奉ることによって、禍を無くすという御霊信仰が生まれました。
京都の夏祭りの多くは御霊会ですが、上御霊神社の祭礼はその発祥と言われます。以後井上内親王、他戸親王を始めとする十二柱の神霊がまつられ現在に至っています。京都の市中の人々はもとより皇室又時時の施政者からも「産土神」「上御霊さん」と親しまれ、崇敬を受けてきました。文正2年(1467)にこの上御霊神社の森に畠山政長が兵約二千を率いてここに布陣し、応仁の乱が始まったことでも知られます。
この日は早朝から、「いちはつの会」の人たちが、神社周りに咲き誇った一初のなどの手入れをしていました。同会アドバイザーの石川利佳子さんにお話を伺うと、手入れは氏子を中心としたこの会がボランティアで担当していて、定期的に雑草を抜いたり肥料をやったりするなどしていて、ここ5年間であふれんばかりになったと言います。
また知恩院門前にある得浄明院は、信州善光寺大本願の京都別院の尼寺として、「関西における善光寺如来の結縁のために」と明治27年(1894)9月に建立されました。その得浄明院でも境内に一初が咲き誇っていて、2023年4月21日から5月5日まで特別公開されています。
紫と白の二色の一初をはじめ、ドイツアヤメなどの珍しい品種もあります。公開に合わせて恒例となっている、本堂下の真っ暗な戒壇を進んで本尊とつながる錠前に触れ、阿弥陀如来の功徳を得るという「戒壇めぐり」が行われていました。
みなさん、桜が終わってもいろいろ見所満載の京都へお越しくださいね!