【京都市東山区】祇園の奥に秘められた歴史ロマン! 法難と赤穂浪士の密議を巡る秋の散策レポート
京都市の東山エリア、円山公園一帯で、知恩院から安養寺、祇園祭の舞台裏を巡る散策に2025年10月5日に訪れました。京都最古の公園であるこの地は、古くは「真葛ヶ原」と呼ばれる原野であり、その静けさの裏には、日本の歴史を動かした数々のドラマが隠されています。
念仏の聖地から芸能の神へ
散策は、知恩院の大鐘楼側から円山公園へ入るルートからスタート。まず訪れた安養寺は、公園名の由来(慈円山)にもなった時宗の寺院です。ここは、浄土宗の宗祖・法然上人が念仏を広めた「吉水草庵(よしみずのそうあん)跡」であり、後の浄土真宗の宗祖・親鸞聖人が弟子入りした「師弟愛の地」です。
しかし、法然の教えは当時の勢力と衝突し、1207年に「承元の法難」という大弾圧を招きます。法然上人と親鸞聖人は流罪となり、この聖地も一時荒廃しました。安養寺に隣接する吉水弁財天堂は、安養寺の鎮守として勧請された弁財天を祀り、祇園花街の芸舞妓さんたちから技芸上達の篤い信仰を集めています。ここは、信仰と芸能・文化が密接に結びついてきた東山エリアの特色を今に伝えています。
桜を救った情熱と武士の密議
公園の中心部、祇園しだれ桜の前へ。この桜は、明治時代の公園整備で伐採の危機に瀕した際、京都府職員の明石博高さんが私財を投じて買い取り、寄付することで救われました。さらに枯死後は、桜守・佐野藤右衛門さんが二代目を復活させ、現在に至ります。この桜の美しさは、二人の功労者による「文化財を守り抜く」という熱い想いの上に成り立っているのです。
また、江戸時代、この一帯にあった高級茶屋「六阿弥(ろくあみ)」の一つが、赤穂浪士が討ち入り前の作戦を練った「円山会議」の舞台でもありました。最後に、公園の奥にある祇園祭山鉾格納庫を確認。華やかな祭りの裏で、一部の山鉾がここで静かに一年を過ごしており、京の町衆の不断の努力が伝統を支えていることを感じさせました。
秋の深まりとともに紅葉シーズンが近づいて来ましたね! 京都の歴史ロマンを体感しに、ぜひこのエリアを訪れてみてはいかがでしょうか。
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