【京都市南区】祇園祭を支える隠れた古社・綾戸國中神社~1500年の歴史を持つ駒形稚児の出発地
京都市南区の桂川駅近くに、祇園祭に欠かせない重要な役割を担う古社があることをご存知でしょうか。綾戸國中神社は、大通り沿いにありながら静寂に包まれた神秘的な空間を保つ由緒ある神社です。
この神社の歴史は古く、継体天皇15年(521年)に桂川の祓い神として創建された綾戸社が起源とされています。左側に大綾津日神と大直日神、神直日神を祀る綾戸宮と、右側に素戔嗚神を祀る國中宮が合祀されており、戦国時代に興福寺から移された國中社との統合により現在の形となりました。
特筆すべきは祇園祭との深い結びつきです。毎年7月17日の山鉾巡行では、この神社から「駒形稚児」が出発し、八坂神社へ向かいます。古文書によると「國中社は素戔嗚神の荒御魂、八坂郷祇園社は素戔嗚神の和御魂」とされ、両神社は一体の関係にあります。駒形稚児が八坂神社に到着しなければ神輿は動かせず、もし滞りがあれば疫病が流行するという重要な言い伝えも残されています。
境内は石の鳥居をくぐると木陰が涼しく、手水鉢や馬の顔をした特徴的な絵馬、石舞台などが配置されています。周辺には「久世時代祭り実行委員会」ののぼりも見られ、地域の歴史行事との関わりも深いことが分かります。
大きな道路に面しているため見過ごされがちですが、1500年の歴史を持ち、京都の代表的な祭りを支え続ける貴重な神社として、地域住民にとって誇るべき文化遺産といえるでしょう。
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