【京都市西京区】年に一度の御開帳 蓮咲く池のほとりに佇む「樫原の弁天さん」
京都市西京区の樫原(かたぎはら)で、地域の守り神として親しまれている「樫原弁財天」の年に一度の御開帳が、2025年7月21日に行われました。樫原はかつて山陰街道と物集女街道(西国街道)が交差する交通の要衝として栄えた宿場町で、今も京都市内で唯一の本陣跡が残されています。市の「かいわい景観整備地区」にも指定され、歴史の趣を色濃く残す地域です。
弁財天が祀られている弁天池では、ちょうど蓮の花が見頃を迎えており、朱塗りの鳥居と小さな祠、幻想的な水面が織りなす風景に訪れた人々も思わず足を止めて見入っていました。会場となった「Cafe Charmy Chat」裏庭には、初雪草や百日草が咲き誇り、夏の日差しのもとで静かに揺れていました。
地元の人々のご厚意で、地域カフェ「Cafe Charmy Chat(チャーミーチャット)」でもある中村家の座敷に案内され、祠から移された弁財天像の前で参拝するという特別な機会が設けられました。座敷の床の間には立派な掛け軸や飾り棚があり、参列者からは「まるで昔の町屋にタイムスリップしたみたい」といった声も聞かれました。
儀式では、無量院の石垣源雄住職による読経が行われ、参加者は静かに手を合わせました。無量院は江戸時代に脇本陣としての役割も担っており、十六弁裏菊の紋章付きの提灯を掲げていたことから、大名が籠を降りて挨拶したという言い伝えも残っています。
読経の後は、店主の中村行夫さんが淹れた神戸萩原珈琲の豆を使った水出しアイスコーヒーを頂きながら、参加者たちは弁財天の説明や弁財天を代々守ってきた小石家の小石伊久男さんから、祭礼の歴史や樫原の由来について話を聞き興味深く耳を傾けていました。
最後に厨子が開かれ、弁財天像が姿を現すと、参加者からは歓声とともに感動の声が上がりました。慶応元年(1865年)の記録には「祠の屋根が破損し修理した」とあり、少なくとも160年以上前からこの祠が大切に守られてきたことがわかります。帰りには、供えられた赤飯や鏡餅、コーヒーパック、クッキーなどがふるまわれ、地域のぬくもりが感じられる一日となりました。
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