【京都市上京区】西陣織の町の「千両ヶ辻」の京町家に端午の節句の幕末以来の見事な「大将さん」飾りがありました!

街のあちこちで新緑を愛でることができるようになってきた西陣界わいを2025年5月3日に散策してみました。端午の節句で「大将さん」飾りをしているところを求めて、大宮通を今出川通から下がって、千両が辻にある「西陣くらしの美術館」を訪れました。こちらは、西陣の商家特有の様式を残した京町家で、現在も老舗呉服商を営む「冨田屋」です。

富田屋

1999年に国登録有形文化財指定され、2007年には京都市景観重要建造物となった京町家ののれんをくぐると、冨田屋籐兵衛13代当主の田中峰子さんが出迎えてくださいました。まずは大将飾りのある座敷へ。堂々とした「大将さん」がまさに圧巻でした。幕末から明治期にかけてのものと推定され、応神天皇や神攻皇后(推定)、武内宿禰らの勇ましい武者姿と邪気を払うとされる菖蒲飾り、粽と柏餅が備えてありました。

富田屋

続いて、渡り廊下から3つあるという豪商らしい立派な蔵のある坪庭を通って奥座敷へ。冨田屋は、両替商をしていた初代から茶道や能楽にも精通していて、金剛流のパトロンであったといわれてます。風情ある坪庭の前の座敷は畳の下が板敷になっている能舞台となっていました。

冨田屋

渡り廊下の奥には、武者小路千家九代目家元宗守氏の監修による茶室「楽寿」がありました。今でもこちらでお茶を点てて茶会などが開催されているそうです。200年前のものといわれる木の蟷螂や立派な石灯篭も見ごたえがあります。冨田屋では、1999年から美術館として、京町家を開放して見学できるようにするとともに、季節を快適に過ごし、邪気を払うために行う年2回の夏冬の大幅な模様替えや24節気に基づく毎月の設えを体験できるようにされました。

冨田屋

大阪で生まれ育った田中峰子当主が、縁あって子育ても一段落した30代半ばで、嫁いできた夫の実家であった冨田屋の13代目となった時には、呉服業界はすでに衰退が著しく、商売は困難を極めていました。商売は続けながらも、まずは、「京町家で旧家が普通に行ってきた日常の、しかし、素晴らしいこの暮らしの伝統文化を多くの人に伝え、後世に残したい」と考えたのだそう。

冨田屋

そんな思いを実現するため、この美術館や自ら院長を務める「古都の風和道会学院」やその節気に因んだ料理の提供を始めたという田中当主は、「子どもの日を始め、子育てをする親御さんたちに、昔ながらの節目節目に忙しい中、中々自宅ではできない、旧家のお祝いを一緒に体験してほしいですね」と語って下さいました。

冨田屋

旧暦に基づき、端午の節句の「大将さん」飾りは5月いっぱいまで見学できるようですのでぜひ立ち寄ってみてください!

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